風の冷たさが身に染みるようになりました。寒い冬の季節が訪れようとしています。
さて、先日、今泉忠明さんという動物学者の先生が書かれた猫の脳に関する書籍を読む機会がありました。猫の脳は、人の脳の基本構造とほぼ同じだそうです。しかも猫の脳は、他の哺乳類と比較して、扁桃体という愛着形成に深く関わる部分が発達しており、特に母性愛が強い動物だということでした。そんな猫の成長にとって最も大切な時期は、生まれてから12週目までの母親と過ごす時期だそうです。人への攻撃などの問題行動を持つ猫の多くは、生後8週目までに母親から引き離された猫が多く、欧米諸国の先進国では、8週齢未満の子猫を母親から引き離して販売することを禁止する法律が一般的だといいます。
一方、人間の脳の基本的な構造は、3歳頃までに出来上がるそうですが、3歳という人間の年齢を猫に換算すると、ちょうど生後8週目から12週目に該当するそうです。今泉先生は、人間の脳と心の発達も、猫と同じく幼児期にどれだけ親の愛情を受けたのかが、とても大切であることを主張されています。
群れで行動しない猫は、一匹で生き抜いていく様々な力と知恵を、わずか生後12週目までの間に母親から愛情深く教え込まれるそうですが、その時間は、母猫と子猫にとって、とても幸せな時間だといいます。人間における幼児期も、その人生の時間の中では、ほんのわずかなものです。年末に向けて慌ただしい季節になりますが、親子の幸せな瞬間を大切にさせていただきましょう。