園長からのひとこと【2019/7】

雨に濡れた紫陽花の美しさが、心和ます季節になりました。田んぼで鳴くカエルの声も、まもなく訪れる梅雨の季節を告げています。

先日、ある研修会で、ヨーロッパの一部の若者の中で、ナチスの思想に共感するナチズムを標榜する集団が出てきていることを聞かせて頂きました。ヒトラー率いるナチス・ドイツは、第二次世界大戦中にユダヤ人をはじめ、多くの人々を大量虐殺したことで知られています。その思想の特徴は、人々の中に「生きるに値しない命」を認めていくところにあります。自分たちの都合を基準にして、生きるに値する命と値しない命を認めていくのです。今、再び、そのような恐ろしい考えを持った若者達が、世界の中で出現していることに、言い知れない不気昧さを感じたことでした。

この世界に生きるに値しない命など、一つとしてないことを仏教は教えています。どんな命をも平等に慈しんでいく、そんな仏様の温かい眼差しは、私たちに一つひとつの命の輝きを教えてくれます。生きていること自体が、そのままで尊い意味を持つことを味わえる世界があるのです。

これからの世界を作っていく子ども達には、どんな命をも同じように大切に出来る、優しく柔らかい心をいつまでも大切に持ち続けて欲しいものですね。

2019-06-28