園長からのひとこと【2020/6】

雨に濡れた紫陽花の美しさが、心和ます季節になりました。田んぼで鳴くカエルの声が、梅雨の季節の到来を告げています。

先日、ネットニュースで、「中国料理店主が知った日本語『かさ地蔵』」という記事を見つけました。東京で中国料理店を営む中国人店主が、お店の売り上げが激減し、自らが困窮する中にあって、自分のように新型コロナウイルスの影響で困窮する人達を想い、4月14日から6月2日まで、毎日、無料でお弁当を配布したそうです。すると、その後、大量の野菜をそっと店先に置いてくださる方や、誰からか現金が送られてくるなど、店主に対する応援や感謝の行いが、後を絶たない状況になっていったという内容でした。まさしく、現代のかさ地蔵です。店主は、日本人の友人から「まるでかさ地蔵みたい」と言われて、初めて日本の昔話「かさ地蔵」の存在を知ったそうです。

かさ地蔵の物語に喩えられるこのエピソードには、お互いに「私がやってあげた」という自己主張の全くない本当の優しさが溢れています。人を思いやる優しい心は、新たな優しさを生んでいきます。逆に、人を傷つける憎しみの心は、新たな憎しみを生んでいくのです。

世界中が、未だに未曾有のコロナ禍の中にあります。不安と緊張が続く中、お互いに温かく人を思いやる本当の優しさが溢れる毎日を送っていきたいですね。

2020-06-30