園長からのひとこと【2021/06】

雨に濡れた紫陽花の美しさが、心和ます季節になりました。田んぼで鳴くカエルの声も、梅雨の季節の到来を告げています。

先日、北海道の札幌市で、商業施設や住宅が建ち並ぶ市街地にクマが出没したというニュースが報道されていました。4人の方が襲われ、重軽傷を負われたそうです。ニュースでは、「クマは、猟友会によって駆除されました」という表現が使われていました。

致し方のないこととはいえ、一つの命が失われた事実を「駆除」という言葉で表現していたことに、一抹の寂しさを感じたことでした。「駆除」という表現には、邪魔者を追い払ったという意味だけが強調され、命を殺めざるをえなかった、人としての心の痛みは隠れています。

「邪魔者なら殺してもいい」という道理を、仏教では邪見といい、そのような物の見方を強く戒めています。この世界に生きるに値しない命など、一つとしてないことを、お釈迦様は、教えてくれています。どんな命も深い慈しみの中にあるのです。殺めざるをえない中に、悲しみを感受できる心を持つことが、本当の人間らしさではないでしょうか。

子ども達には、どんな命をも同じように大切に思える、優しく柔らかい心をいつまでも大切に持ち続けて欲しいものですね。

 

 

 

2021-06-28