春の暖かい空気の中、いよいよ、新年度がスタートしました。新入園児の皆さんをお迎えし、一つずつ大きくなった在園児の皆さんと一緒に、今年度も、笑顔いっぱいの素敵な日々が始まります。
嘉川保育園には、阿弥陀如来様がいらっしゃいます。阿弥陀如来様は、どんな命も同じように愛おしく慈しんでくださるみ仏様です。嘉川保育園で過ごす子ども達一人ひとりが、阿弥陀如来様に慈しまれる掛け替えのない仏の子です。温かいみ仏様のお心の中で、日々経験していく一つ一つのことが、子ども達にとってかけがえのない成長の糧となっていくことでしょう。楽しいことも、そうでないことも、毎日が、み仏様から恵まれた大切な宝物です。子ども達の笑顔も涙も、宝物のように大切にしていける保育園でありたいと思います。
今年度は、いよいよ新型コロナウイルス感染症が五類感染症となり、長く続いたコロナ禍も緩和の方向に向かいそうです。また、工事中の新園舎が完成し、新しい保育環境でのスタートも控えています。ワクワクすることがいっぱいの中、保育園と保護者の皆様とが車の両輪のようになって、子ども達の限りない輝きを支え、一緒にその輝きを心から喜んでいくことが出来ればと思います。どうぞ、一年間、よろしくお願いいたします。
2023/4/5
今年度も、残すところ、あと一ヶ月となりました。発表会では、感染症対策にご協力くださり、まことにありがとうございました。子ども達の成長した姿を大切に受け止めながら、就学・進級に向けた大切な一ヶ月を過ごしていきたいと思います。
さて、先日、政府が打ち出した異次元の少子化対策を受け、解剖学者の養老孟司先生が、日本の少子化の根本原因について解説している記事が出ていました。
養老先生は、経済的価値が見いだせないものに価値を認めようとしない日本社会の価値観の変容に、現代の少子化の根本原因があると説明されていました。養老先生は、子どもというのは、多くの手間をかけて育てなければならないものにも関わらず、その手間にさえ経済的価値を求めようとするのが、現代の日本社会の価値観だと言われます。手間に見合った経済的価値がなければ、子どもを持つ意味がないと考える人が多いというのです。
養老先生の指摘が的を得ているとすれば、本当に悲しいことだと思います。子どもに恵まれるというのは、大金を手に入れることとは比較にならないほど幸せなことのはずです。また、子どものために泣いたり笑ったりできる手間のかかる時間は、親にとって、それ自体が本当に幸せな時間ではないでしょうか。
子どもと過ごせる時間のありがたさを味わいながら、子どもの幸せが、そのまま親の幸せになっていくような温かい親子の時間を大切にしていきましょう。
2023/3/1
新しい年が明けて、早くも一ヶ月が過ぎようとしています。新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。十分な感染症対策をとりながらも、温かい保育に気を配っていきたいと思います。引き続き、感染症対策にご協力をお願いいたします。
さて、仏教徒が守るべき戒め(いましめ)の一つに「不殺生(ふせっしょう)」というものがあります。「殺生」という言葉は、一般的には、「生き物を殺す」という意味で使われています。しかし、この「殺す」という言葉には、単に「命を殺める」という意味だけでなく、「命を無駄にする」という意味が含まれています。動物や魚だけでなく、一粒のお米も野菜も掛け替えのない命です。私たちは、様々な命を殺めずに生きていくことはできません。しかし、その殺め頂いた命を、けっして無駄にしないような生き方はできるのではないでしょうか。様々な働きの中で生かされている私であることに感謝し、何事にも真面目に一生懸命させていただく毎日を大切にしたいものです。
感染症対策をとりながら、発表会の練習が進んでいます。一生懸命に取り組む子ども達の姿には、いつも大きな感動を頂いています。太陽の光を受けて輝く雪のように、子ども達もご家族の温かい眼差しを受けて、舞台の上でより一層輝いていくと思います。今年も制限のある中ですが、温かい応援をよろしくお願いします。
2023/2/1
年末の慌ただしさが、身に染みる季節になりました。今年も終わりを迎えようとしています。一年を大切に振り返りながら、新しい年への思いを膨らませていきたいですね。
さて、先日、新園舎建築工事に伴い、園庭のクスノキがついに伐採されました。大きく伸びた枝が、重機によって無残にもぎ取られていく時には、クスノキの悲鳴が聞こえるようで、いたたまれない気持ちになりました。木も一生懸命生きようとする掛け替えのない命であることを、改めて実感させていただいたことでした。
考えてみると、食べ物だけでなく、住居や衣服に至るまで、私達の生活は、様々な命の犠牲の上に成り立っています。掛け替えのない命の死が、掛け替えのない命の生を守り支えているのです。私の命は、私だけのものではないということでしょう。生かされ生きていくというのは、様々な命に対して責任を持つということでもあると思います。
今年は、コロナ禍に加え、世界では戦争も始まり、世界中の人々の心が疲弊する一年となりました。そんな中でも、一年の終わりを迎えることができるのは、私自身、様々なものに支えられてきたからでしょう。
様々なものに支え守られている身の有り難さを味わい、一年の終わりを温かい感謝の想いの中で大切に迎えていきたいですね。
2022/12/24
少しずつ冬の気配を感じる季節になりました。感染症の流行も心配されます。体調に気をつけながら、寒い冬の季節を楽しみましょう。
さて、先日、NHKのテレビ番組で、植物に関する興味深い特集が放映されていました。草木などの植物は、人間の目には、動いたり反応することのない鈍感な生物に見えています。しかし、植物の世界には、人の目には決して見えない、豊かな命の営みがあることが最新の研究で分かってきているそうです。
その一つが、植物は、お互いにコミュニケーションしているというものです。例えば、虫に食べられた植物は、それ以上食べられないための防御反応を起こすことが分かっていたそうですが、驚くべき事に、最新の研究では、虫に触れられていない少し離れたところに生えている植物にまで防御反応が見られることが分かってきたそうです。これは、虫に食べられた植物が、近くに生えている植物に「虫がいるぞ、気をつけろ。」と伝えているからだそうです。
人に見えている世界が、けっして全てではないことを改めて教えられた気がしました。まもなく、どんな命も同じく尊いと教えてくださったお釈迦様の成道会を迎えます。自分以外の様々な命に敬いと思いやりの心を持ち、今年最期の一ヶ月を優しく丁寧に過ごさせていただきましょう。
2022/12/01
残暑が続く日々から一転、急に肌寒さを感じるようになりました。運動会では、様々な制限の中にも、子ども達の大きく成長した姿を保護者の皆様と一緒に喜べる時間がもてました。様々なお願いにも快くご協力くださり、まことにありがとうございました。
さて、最近の秋は、大変短くなりました。始まったばかりの秋の季節を楽しめるのも、あと少しです。秋に色づく木々の中にイチョウがあります。大阪の御堂筋には、約4キロにもわたるイチョウ並木があり、秋の絶景の一つとして有名です。
そのイチョウですが、実は、シーラカンスやカブトガニなどと共に、生きた化石の一つとして数えられています。その起源は、恐竜が生きていた時代よりもさらに前の約2億年前と考えられています。
しかし、イチョウは、日本の野山には生息していません。元々は、中国に生息していた外来種だそうです。それが、古くから日本人に愛され、人の手によって、これだけたくさんのイチョウが植えられてきたそうです。
人のいない太古の時代から、秋の季節を彩ってきたイチョウの美しさに、昔の日本人達は、どんな思いを馳せてきたのでしょう。短い秋の季節の中にも、心豊かに自然を味わえる時間を大切にしたいですね。
2022/10/31
ようやく秋の訪れを間近に感じる季節になりました。運動会に向けて一生懸命練習する子ども達の笑顔が、今年も園庭を彩ってくれています。
さて、先日、コウテイペンギンの子育てに関する興味深い記事を見つけました。凍てつく南極大陸に生息する最も体の大きなペンギンです。コウテイペンギンは、卵を産む季節になると、海から天敵のいない内陸へと集団で移動するそうです。よちよち歩きで、50キロ以上も移動するといいます。魚のいない内陸を、何も食べずに2ケ月間、歩き続けるのだそうです。安全な場所で産む卵は、一つだけです。その大切な一つの卵をオスが温めます。凍てつく地面に少しでも卵が触れれば、卵は死んでしまいます。マイナス60℃のブリザードが吹き付ける中を、オスは、さらに2ケ月間、何も食べずにひたすら卵を守るのです。メスは、その間、来た道を歩いて海に戻ります。これから生まれてくるヒナに魚を食べさせるためです。メスも命がけです。無事にメスが魚を獲って帰ってくる頃には、オスの体重は半分ほどになっているそうです。メスもオスも、多くが子育ての途中に息絶えるといいます。まさに命がけの子育てなのです。
コウテイペンギンの子育ては、一つの命が生まれ育つというのは、けっして当たり前のことではなく、とても有難いものであることを教えてくれています。今年も、コロナ禍の中での運動会となりますが、元気に成長している子ども達の姿に、幸せをいっぱいに味わえる時間になればと思っています。温かい応援をよろしくお願いします。
2022/9/30
コロナ禍の緊張が続く中、暑い夏の季節が過ぎようとしています。今年も様々な制限の中で、10月の大運動会へ向けた練習が始まります。過ごしやすくなっていく季節の中、子ども達の成長がいよいよ楽しみです。
さて、昨年、東北大学の川島隆太教授を中心とする研究グループが、スマホの使用時間が長い子どもの大脳に、発達の遅れが見られることを発表しました。川島教授は、5歳から18歳の子ども224名を対象に、3年間の脳の発達の様子をMRI装置を使って観察したそうです。すると、スマホの長時間使用が、子ども達の脳の成長を阻害していることが分かってきたといいます。毎日のように、スマホでインターネットを見る習慣がある子ども達の脳は、3年間、ほとんど成長していなかったそうです。これは、5歳からスマホを見る習慣があったとすると、8歳になっても、脳は、5歳のまま変わらないということです。日常の中に何気なく潜む危険に、はっとさせられたことでした。
やっぱり子どもというのは、たくさん泣いて、たくさん笑って、大人を喜ばせたり、心配させたり、その中でこそ、たくましく成長していけるものなのでしょう。機械ではなく、たくさんの人々や命ある者との関わりを大切に、泣いたり笑ったりの子ども達の姿を喜べる大人でありたいですね。
2022/8/30
セミの声が本格的な夏の到来を告げています。大変暑い日が続いています。熱中症等に気を付けながら、暑い夏を楽しく過ごしていきたいと思います。
さて、今年は、コロナ禍に加え、戦争や痛ましい事件など、次々と胸が締め付けられるような出来事が起こっています。殺伐とした世の中で、改めて人間らしい心を持つことの大切さを思います。
仏教の修行の一つに「ダーナ」と呼ばれるものがあります。日本では「布施(ふせ)」という言葉で伝わっているものです。布施という行為は、「自分が大切にしているものを他人のために施していく」という意味があります。布施の行いの中には、笑顔を見せる和顔施や好ましい眼差しを送る眼施、また、座る場所を譲る床座施など、私達が普段気をつけて行うことができる行為もたくさん説かれています。特別なことではなく、普段の何気ない心遣いが、他人を幸せにし、自分も幸せにしていくのでしょう。
世の中の雰囲気は、人の心が作り上げていくものです。どんな状況においても、自分にできる些細な優しさを大切に、人の笑顔がたくさん見られる毎日を過ごしていきたいですね。
2022/7/27
史上最も早い梅雨明けを迎え、夏本番の季節がやってきました。
仏教で説かれる言葉の一つに「澍法雨(じゅほうう)」というものがあります。仏様の働きを雨に喩えた言葉です。澍という漢字は、「潤う」や「注ぐ」という意味があります。「澍法雨」というのは、仏様の温かい教えの言葉が、まるで草木を潤す雨のように降り注ぎ、私達の心を癒やしてくださることを表現した言葉です。
雨が降り続く梅雨の季節は、活動が制限される人間にとっては、時に都合の悪い季節にもなります。しかし、あらゆる生き物にとって、なくてはならない水が、空から降り注ぐ季節というのは、あらゆる生き物を潤し癒やしていく、とても美しい季節ともいえるでしょう。
今年は、そんな美しい梅雨の季節が、史上最も短いものでした。雨に濡れながら美しく咲く紫陽花の花や、田んぼで鳴くカエルの声など、命が生き生きと輝いている素敵な景色も、もう楽しめないと思うと寂しいですね。
太陽が元気に輝く夏本番を迎えます。子ども達にとっては、暑い中にもワクワクする季節でしょう。子ども達と一緒に、暑い夏を楽しんでいきましょう。