雨に濡れた紫陽花の美しさが、心和ます季節になりました。田んぼで鳴くカエルの声も、梅雨の季節の到来を告げています。

 連日、世界のあちらこちらで起こる戦争のニュースが、テレビやネットから流れてきています。日本から離れた地域で起こる戦争のニュースを聞きながら、どこか現実感に欠ける日々を送っている私達です。

しかし、報道では伝わってこない数多くの悲しみが、今、世界のあちらこちらで広がっているのでしょう。戦争は、本来の人間らしさを奪っていくといいます。人間らしさというのは、相手の悲しみに寄り添い、相手の安らぎを願う姿に現れます。人の悲しみを感じることができず、ただ自分の都合のみを貪る姿は、人ではなく鬼です。また、自分の都合を中心にして、味方と敵を作り出し、多くの悲しみを生み出していく世界を地獄というのです。

「邪魔者なら殺してもいい」という道理を、仏教では邪見といい、そのような物の見方を強く戒めています。この世界に、生きるに値しない命など一つとしてないことを、お釈迦様は、教えてくれています。どんな命も深い慈しみの中にあるのです。

 人を傷つけずに生きることは難しいことですが、子ども達には、人の痛みや悲しみを感じることのできる、優しく柔らかい心をいつまでも大切に持ち続けて欲しいものですね。