奈良公園のシカとコガネムシ
園長から雨に濡れた紫陽花の美しさが、心和ます季節になりました。田んぼで鳴くカエルの声も、梅雨の季節の到来を告げています。
さて、先日、奈良市にある奈良公園に行く機会がありました。奈良公園には、国の天然記念物に指定されている野生のシカが、たくさんいます。現在、その頭数は、1300頭を超えるとも言われているそうです。
そのシカの風景と一緒に目を惹くのは、一面に広がる綺麗な緑の芝生です。雑草が一つもなく、いつも機械で刈り取られたような美しい芝生の状態が保たれています。これは、1300頭のシカが、毎日、雑草と伸びた芝生を食べ尽くしているからだそうです。そして、食べた後に出るシカの糞は、コガネムシが食べて分解し、また土に還るといいます。それが芝生の栄養になり、再び元気な芝生が育っていくそうです。
広大な奈良公園の芝生の景観を人間の力だけで保つには、年間100億円程度の費用が想定されるそうですが、それが、シカやコガネムシを中心とする自然のサイクルのおかげで、まったく費用がかかっていないといいます。本来、自然というのは、様々な命同士が、お互いに支え合いながら、一つの大きな風景を描き出しているものなのでしょう。
私達人間も、本来は、自然の一部にすぎません。それを忘れ、人間の欲望のままに支配できるように錯覚していくところに、環境問題をはじめとした様々な地球上の問題が起こっているのでしょう。
環境問題を起こすのも人間ですが、他の命に感謝できる姿も人間特有のものです。7月は、盆踊り大会とともに、他の命に感謝をする追弔会を子ども達と一緒に勤めます。無数の命に支えられてあることの尊さを感じながら、日々を大切に過ごしていきたいですね。

