セミの命と私達
園長からセミの声が本格的な夏の到来を告げています。熱中症等に気を付けながら、暑い夏を楽しく過ごしていきたいと思います。
さて、先日、セミの幼虫が地面を歩いている姿に出会いました。セミの抜け殻はよく見ますが、まだ抜け殻ではない、生きて動いている幼虫を見るのは、初めてのことでした。成虫に脱皮して飛び立つための木を探していたのでしょうか。ゆっくりと歩く幼虫の体には、うっすらと中の成虫の姿が透けて見えていました。
セミは、幼虫のまま、土の中で3年から7年もの間、過ごすといいます。そして、地上に出て成虫として生きるのは、わずか3週間程度だそうです。その短い数週間の間、力の限り鳴き続け、命終えていくのです。
今から約1500年前に曇鸞大師(どんらんだいし)という高僧が、中国におられました。その曇鸞大師が遺されたお言葉に「蟪蛄(セミ)は 春秋を識(し)らず」というものがあります。セミは、春や秋という季節があることを知らないというお言葉です。セミにとっては、夏が世界のすべてです。他の季節を知らないために、自分が夏という季節に生きていることも知ることができないでしょう。実は、このお言葉は、仏様の世界を知った曇鸞大師が、私達に対して、「あなたが今見ている景色、知っている世界がすべてだと思い込んでいませんか?」と問いかけているお言葉なのです。
なんでも知っている、なんでも当たり前と受け止めていく世界は、感動のない輝きのない世界です。一方で、自分の知らない新しい世界に出会うことにワクワクし、目を輝かせていける世界は、日々の景色そのものが輝いていくような世界でしょう。子どもには、ワクワクが止まらない景色の中で、日々を過ごしてほしいと思います。
暑い季節が続きますが、子どもと一緒に、ワクワクできる毎日を送っていきたいですね。

